商業界ゼミナールの創始者、倉本長治主幹(1899〜1982年)は"店は客のためにある"という消費者主権と、"損得より先きに善悪を考えよう"という商業倫理を掲げ、一貫して正しい商人道と商業の近代化、即ち商業経営の精神と技術を追求してきました。
雑誌「商業界」は、昭和23(1948)年10月、まだ太平洋戦争後の混乱おさまらぬ中で新しい商業の時代を予告した記事を満載してスタートした商業経営の総合指導誌でした。
しかし、当時のはげしいインフレや、貧しい消費、乏しい生産、そして社会不安の中にあっては、近代的な商業の発展をただちに実現することは困難でした。
倉本主幹は、そうした時代に対しては活字を通じて呼びかける以上に、直接、人と人とのコミュニケーションによる説得こそ、唯一の理解の道であると感じて、昭和26(1951)年2月箱根において第1回の商業界ゼミナールを開いたのです。
その反響は大きく、今までの金儲け主義の商人のあり方から転換して、お客のための商売に生きようという信念に燃えた人たちが立ち上がり、世の注目を浴びるようになりました。
やがて、昭和30(1955)年代に入ると、倉本主幹はいち早くアメリカの先進的な技術の導入を積極的に提唱し、チェーンストア理論をはじめとする科学的経営のあり方を新進の講師陣によって展開、ついに参加者が3000名にもおよぷ大集会となりました。
鰹、業界は、この間に「販売革新」「食品商業」「ファッション販売」「飲食店経営」「コンビニ」などの専門経営誌をつぎつぎと世におくって、商業の分野では、押しも押されもしない総合出版社として、出版業界に確固たる地位を築いております。
こうして倉本主幹は日本の近代的商業の育成に大きく関与したばかりではなく、多くのすぐれた経営者を全国各地におくり出し、またそれまでわが国には存在しなかった超一流のチェーンストアの成長にも多大の影響を与えてきました。
これらの数々の功績によって、藍綬褒章、勲五等双光旭日章を贈られましたが、昭和57(1982)年1月29日、82歳をもって天寿を全うし、いま、箱根町早雲寺に永眠の場を得ております。
商業界ゼミナールは、この倉本主幹の遺志を継ぎ、「店は客のためにある」という理念の上に立って、さらにあすに向かって生活者の平和で豊かな生活実現をめざそうと決意しております。
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